佐助×小十郎でヤッテルダケ。




















最近気付いたことなのだけれども、片倉小十郎はどうやら「二度目」がすきらしい。

何の二度目かというのはあんまり野暮である。猿飛佐助は火照った体をつめたい布団に横たえながら、おんなじように荒い息を吐く小十郎の横顔をじっと見つめた。こういうときにつくづく、しのびとは素晴らしい生き物だと実感する。いかに夜で、いかに相手が嫌がるからと灯のひとつも灯せないとしても、佐助にはなんの問題もなく情人の顔が観察できるのである。
額に手の甲を置いて息を整える小十郎の顔は、驚くほど卑猥だ。
口がだらしなく微かに開いて、切れ長の目はとろりと溶けて何処を見るともなく彷徨っている。褐色の肌をしたたり落ちる汗は絶え間なく、濡れた黒髪が束になって額にかかっているのは目に毒としか言いようがない。
汗がこめかみから耳元へとしたたる。
佐助は首を伸ばし、それをぺろりと舐め取った。

「は、―――」

弾かれるように小十郎が肩を竦める。
佐助はうふふと笑いながら、体を起こし、小十郎の顔を上から覗き込んだ。

「みぎめのだんな」

目を覗き込みながら呼んでやると、さるとび、と舌足らずに呼び返され、佐助はますます上機嫌になった。
厚い胸をてのひらで撫でながら、きもちよかったね、と言ってやる。小十郎は目を閉じて、何も言わずに佐助の手の動きを追っているようだった。湿った肌の感触はとても心地が良い。佐助は小十郎が目を閉じているのをいいことに、鎖骨に吸い付いてひとつ痕を残してやった。すると小十郎が目をぱちりと開ける。怒られるかと思って慌てて顔を退けたが、呆れたように胸を軽く叩かれただけで何も言われなかった。佐助はそれで満足げに鬱血の痕を指でなぞった。
布団をはね除け、小十郎の足を片方折り曲げる。
冷えた空気が全身を包んで、小十郎が不満げに文句を言った。

「寒い」
「大丈夫、すぐあったかくしてあげるから」

膝に口付けてやると、諦めたように切れ長の目が閉じる。
腿をすこし広く開き、その間に体を滑り込ませると、もう萎えた小十郎の性器を口に含む。手を置いた小十郎の膝がひくりと跳ねるのが解ったが、そのまま深く咥え込んでやると低い唸り声が上のほうから聞こえて、思わず佐助は笑ってしまった。

「なにその声、ぜんぜん色っぽくないンだけど」
「うるせ、だまれ」
「はいはい」

笑いながら根本に舌を這わすと、低い声に微かにいろが籠もる。
先刻散々まじわったせいで、小十郎の性器はなかなか芯を持たない。それでも舐められるのは嫌ではないらしく、ときおりうっとりと甘ったるい吐息がこぼれるのが聞こえて、佐助の背中をぞわぞわと振わせた。

「ふ、―――ぁア、ん、ん」

先端を舌で突いてやると、明らかに喘ぎ声らしきものが混じる。
佐助はにんまりとほおをゆるめ、今度は指をするりと秘部に潜り込ませた。先刻まで佐助の性器を飲み込んでいたそこはまだやわらかく、二本の指は簡単に入り込んでいった。熱い粘膜の感触にずんと下半身が重くなるのが解る。
佐助は知らず、乾いた唇を舐めた。
関節まで指を潜り込ませ、折り曲げる。なかを引っ掻くように動かしながら性器に舌を這わせると、小十郎の足の指が痙攣したかのようにひくひくと引き攣っているのが目に入る。
布団を掻き毟るようなその指の動きに佐助はうっとりと見入った。

「は、ァ、あ、あぁ、ァ、は、」

半開きになった小十郎の口からは、だらしなく声がもれている。
隠すつもりも堪えるつもりもないことが解るその声は、どこなく甘えるような響きすらあって佐助をどうしようもなく有頂天にさせる。なまじお互い男なせいで、普段は情交のときでも意地やら矜恃やらを捨てられないこの男が、ほんとうに芯から佐助に身を任せるのはこのときだけなのだ。疲れ切った小十郎はもう、自分からは何もしない。佐助を悦ばす気がまったくないそのだらしない態度が、その実もっとも佐助を喜ばせるのである。
ねえきもちがいいの、と佐助は小十郎に尋ねた。

「凄く熱い。溶けてるみたい」

卑猥な言葉を言ってみても、小十郎は眉根を寄せ、唇を噛み締めるだけである。
佐助はふつふつと自分の頭に熱が籠もっていくのを感じた。ようよう芯を持ち始めた性器を飽きもせず咥えながら、秘部に三本目の指を差し込む。ゆっくりと前から後ろから小十郎を溶かしていくのはたまらない愉悦だ。小十郎は佐助の一挙一足に、身を捩るように首を傾け、布団の端を掴んで吐息を漏らす。
たわむれに性器に歯を立てると、小十郎の背が反り返った。

「あ、ッ」

高い声と一緒に、とろりとしろい熱がこぼれる。
佐助はくつくつと笑いながら、それもきれいに舐め取ってやった。

「痛いのがいいなんて、右目の旦那ったら助平なんだから」

笑みを浮かべながらまた甘く噛み付いてやると、とろとろと先端が溶け始める。小十郎は止せと言うが、その言葉にはなんの説得力もなかった。先端に歯を立てながら、秘部に差し込んだ三本の指をすこし乱暴に出し入れしてやると、それまで弛緩していた小十郎の体が大きく震えだした。

「あ、ァ、んんッ、よせ、あほ、ッ、あ、あぁ、アァ」

佐助の頭を抑えようとしているのか、小十郎の手が伸びてくる。
佐助はそれを空いたほうの手で受け止めてやって、指を絡めるとそのまま伸び上がって小十郎の上に覆い被さった。生理的な涙が浮かんでいる顔を見ながら満足げに笑い、浮かんだ涙を吸い取ってやる。そのまま顔中に接吻を降り注ごうとしたら、焦れたように振り払われた。
絡んだ指に力が籠もる。
佐助は目を細め、左ほおの傷にだけ口付けた。

「どうしたの、右目の旦那?」

首を傾げ、耳に声を注ぐ。
それにすら反応して震える体がどうにもいとおしくって仕様がない。
小十郎は何も言わない。黙ったままもう片方の手にも指が絡んでくるのに、佐助はこっそりと息を飲んだ。顔を上げて小十郎の目を覗き込もうとしたら、顔を伏せられてそのままぐりぐりと肩に額を擦りつけられる。
嗚呼なんてことだと思う。
頭が熱で焼き切れてしまいそうだ。

「ね、どうしてほしいのか、言ってみて?」

それでも必死に平静を装い問いかけると、ちいさく悪態を吐くのが聞こえた。それすら息苦しいほどにいとおしく、思わず指の絡んだ手をふりほどいて背を抱こうとしたが、込められている力が強すぎて適わない。
どうしたものかと息を吐いた途端、佐助の腿に何か熱いものが触れた。
はっと下を向くと、小十郎が自分の性器を佐助に擦り付けるように、腰を揺らしていた。

「ちょ、旦那、」
「ァ、んん、んぅ、―――ん、さるとび、さるとび、ぃ」
「―――狡くない、それ?」

自慰をするように腰を揺らしてうっとりと自分の名前を呼ぶ小十郎に、佐助はとうとう観念して天井を仰いだ。 そして、甘えん坊さん、と揶揄をするように囁いてやってから、二度目の情交でとろけきった体をぎゅっと思い切り抱き締めてやった。
















070: 甘 え る



ただエロが書きたくてやった。後悔はしてない。
たぶん片倉さんはいろいろ面倒臭くて何もしたくないときに受けをやるので、
受けをやるときは基本まぐろです。まぐろ、美味しいです。

2011/04/14



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