※雀エロですが 喘いでるのは佐助です。 「猿飛?」 夕飯が出来たので、ソファでテレビを見ているはずの佐助の名前を呼んだが返事が返ってこなか った。かげつなは不思議に思ってキッチンを出てソファをのぞき込んでみて、切れ長の目をまん まるく丸めてしまった。 佐助はソファの上で丸くなって眠っていた。 スーツの上着を脱いだワイシャツ姿のままで眠るその格好はあきらかに寒そうで、まるで赤ん坊 のように縮こまっている。かげつなはすぐさま起こそうと口を開きかけ、すっとそのまま何も言 わずにまた口を閉じた。もともといろのしろい同居人の肌が、今日はことさらにあおじろく、色 素が消え失せている。赤い髪や睫が一層にそのしろさを際だたせているようで、なんだか人形の ようにさえ見えた。 そういえば、と思う。 最近疲れているようだったな、とかげつなはソファの背もたれに肘をついて考えた。仕事が忙し いのか、ここ二週間帰ってくるのはいつも十時過ぎで、それでも翌朝家を出ていく時間には変わ りがない。見かねた雀が慈悲の心で毎晩二回の交尾を一回に減らしてやったほどに、佐助の疲労 は目に見えて蓄積していた。 それが今日終わったはずだった。 午後六時に帰宅した佐助が、弾んだ声でそう言ったのだ。 「やっと俺様自由の身になったわ」 ドアを開けるなりそう言って腰に飛びついてきた同居人は、かげつなの顔を見上げるとへらりと 笑って鼻先にキスをしてきた。その顔があまりにもおさなげで、二週間毎晩一回ずつ交尾を我慢 してきた雀としては――それがどれだけ辛い努力だったか!――その場で問答無用で壁に叩きつ けてもいいくらいだったのだけれども、安心しきった様子でかげつなの肩に頭を埋めている佐助 を見ると、まああと二時間くらいなら待ってもいいかと思ったのだ。 「寝てやがる」 それで、この結果だ。 かげつなは吐き捨てるようにつぶやいて、息を吐いた。 そう広くはないソファの半分にも満たない場所で縮こまり、佐助はクッションを抱き込んで眠っ ている。寒くなってきたとはいえ暖房をまだつけていない室内で、ワイシャツ一枚ではやっぱり 寒いのだろう。かげつなは部屋の隅のバスケットの中に放り込んである膝掛けの毛布を取り出し て、芋虫のようになっている佐助の体にそうとかけてやった。 顔をのぞき込むと、それでもまだ寒いのかすこししかめ面になっている。 「猿飛、飯が出来たんだが」 ちいさな声で呼んでみる。 返事はない。かげつなは佐助を起こすことを早々に諦めた。 そしてついでに夕食をとることもひとまずは諦めた。佐助が居るのにわざわざひとりで夕食をと るのもなんだか馬鹿みたいな話だ。かげつなは佐助がことさらに丸まってくれたおかげで大分余 裕のあるソファの残りの部分に腰掛けた。首を曲げると丸まった佐助を見下ろすことができる。 かげつなは青い毛布にくるまった赤毛を眺めながら、そこからすこしはみ出した佐助のつまさき になんとはなしに触れてみた。そして目を丸めた。 靴下越しにも佐助の足の指がとても冷えているのが解った。 外は相当に寒いのだ。普段は体温の高い男の皮膚が、無機物のようにつめたい。 かげつなは自分のてのひらを佐助の足の裏に当ててさすってやろうとして、ふと手を引っ込めた。 自分の右手で左手に触れてみる。けれどもそれでは、常々佐助から言われる「手がつめたい」と いう言葉がどの程度真実であるかはよく解らなかった。 でもあまり暖かくはない。 そういう気がした。 もう一枚毛布を持ってきてやるべきかどうかでかげつなは一瞬だけ悩んだ。けれどもそれでは本 格的にソファで眠ってしまうことになるし、それはあまり歓迎すべきことではない。佐助が目を 覚ましたら夕食も待ち構えているし、だいいち今日は金曜日なのだ。なにもしないで朝まで眠る なんて、そんなことが許されるわけがあるだろうか? かげつなは即座に思った。 ありえねェ。 「猿飛、寒いなら起きろ」 右足を持ち上げて、それで佐助の縮こまった太ももを蹴ってやる。 佐助は衝撃にかすかに身動いだ。けれどもそれは単なる寝返りにしかならず、赤毛は今度は天井 を向いたまま安らかに眠りだした。寝返りの拍子にせっかくかけてやった毛布まで体からずり落 ちてフローリングの床に落ちる。かげつなは目を細めて呆れた。 体を覆うものがなくなったので、佐助はますます寒そうに体を震わせている。 「起きろ、阿呆」 かげつなは右足でまた太ももを蹴りつけようとした。 けれども佐助がその瞬間に身動いだので、かげつなの足はすこしずれて、よりによって股間の部 分にまるで狙ったように当たってしまった。 かげつなは思わず「あ」と声をもらした。 「ん、」 次いでもれた佐助のちいさなうめき声に、目を瞬かせる。 顔をのぞき込むと佐助は細い眉を心持ち寄せている。かげつなはすこし考えてから、まださっき と同じ場所にある自分の足を、すこし強く前へと押し出してみた。やわらかい感触がする。雀は 迷わず、足の親指をぐいとくすぐるように動かした。 佐助の首がすこし持ち上がった。 「――ぅ、あ」 鼻から抜けるような高い声があがる。 かげつなは目を細めた。そうして、首をすこし後ろへ傾け、わかりにくくほおを笑みで歪める。 すこし腰を進めて、足の裏ぜんぶをやわらかい性器に押し当てる。そのまま足首だけ動かしてぐ るぐると撫でるようにしてやると、持ち上がった佐助の首が亀のように引っ込んだ。伸び上がっ て顔をのぞき込むと、しろいほおに赤みが差している。 かすかに息が荒くなっているのも見てとれた。 かげつなはますます満足げに笑みを深め、足の位置を変えて、固くなり始めた性器の感触をなぞ るように、親指でくるりと弧を描いた。 佐助はますます縮こまる。 「ふ、――ん、ん、うあ、あ」 「あァ、起きたか?」 返事はない。 「あ、――あぅ、う」 眠ったままのようだけれども、声は出るらしい。 かげつなは楽しげに喉を鳴らした。こんなふうに声をあげている佐助を見たのは初めてのことだ。 自分の足の裏で佐助の性器が熱を持ち始めるのが解る。布越しにでも伝わる熱と芯を持ち始める 感触。なかなか悪くない、と思う。 ぜんぜん悪くない。 むしろ、とてもたのしい。 「さるとび」 口から出した声は、自分で想像していたよりも掠れていた。 それもまあいいだろう、と雀は思う。そしてさらに強く佐助の性器を踏みつけてやった。 「ふぁ、っ、え、――は、へ?」 間の抜けた声をあげて、佐助が飛び起きる。 かげつなは思わず舌打ちをした。 「もうすこし寝てろ」 「はあ、へ、なにそれ――つか」 佐助はまだ寝ぼけているのか、不明瞭な口調で何かを言いかけ、口をつぐんだ。 かげつなは首を傾げる。佐助は視線を下へ向けたまま絶句しているようだった。どうした、と聞 いてやると、ようやく意識が覚醒してきたのか、顔を赤くした佐助がきつくこちらを睨みつけて きた。 「どうした、じゃねえでしょうが。なにしてンの、あんたは」 かげつなは目を瞬かせて、あァ、と自分の右足を見た。 「当たっちまってな」 「どかせよ」 「おまえがよさそうな声を出すから、どかさねェほうがいいかと思ったんだが」 「いや、いらないから。ぜんぜんそういうのいらないから」 足首を掴んでかげつなの足を股間からどかそうとする佐助に、かげつなはひょいと片眉を上げた。 「ふうん」 鼻を鳴らし、ぐっと足の裏を押しつける。 「うわ、あッ」 「うん、どうした?」 にんまりとひとの悪い笑みを浮かべ、さらにぐいぐいと足の指で性器を抉るように押してやる。 佐助は耳まで真っ赤にして、恨みがましい目をかげつなへと向ける。赤い目の表面には起きたて だからか水が張っていて、なんだか雀は相手をいじめているような気分になって、ますます上機 嫌で足の指を動かし続けた。佐助はときどき文句を言おうと口を開きかけるが、その度に甘った るく高い声が出てしまうので、それはただかげつなを喜ばせることにしかならなかった。 寝起きで動作が覚束ないのだろう。 背を丸めて、かげつなの足首を掴むだけで精一杯らしい。 「ふう、ふ――う、ぅ、んん、ん」 押し殺したような声がかげつなの鼓膜を心地よく揺らす。 ソファの背もたれに右肘を付いて、雀は満足げに息を吐いた。佐助の声はとてもいい。低くて出 来の悪い洋菓子のように馬鹿げて甘ったるい。交尾のときはそれが一層にひどくなる。粘着質な 低音は、骨を溶かすように皮膚に染み渡るのだ。 でもそれが高く掠れてしまうのも悪くない。 まったく悪くない。 「ちょ、もう、ほんとやめて、出る、出るから」 その掠れた声で、佐助が懇願するように言った。 かげつなは平気な顔をして、盛り上がったスラックスの天辺を足の親指で弾いてやった。 「ひ、ぅあッ」 「出せばいいじゃねェか」 「よく、ねえッて、――服着てンだよッ」 「脱ぐか?」 「脱ぐかッ」 うるさい。 かげつなは舌打ちをした。 「じゃあそのまま出せ」 「え、」 佐助が何か言いそうだったので、雀は黙ってほとんど蹴りつけるように右足を前に押し出した。 もともとまるい佐助の目がことさらに丸くなる。ひゅ、と息を飲む音がして、かげつなはひょい と眉を持ち上げた。足の裏の感触が再びやわらかくなる。 それからかすかに濡れた感触がした。 足をどかし、俯く佐助の顔を下からのぞき込む。 「出たか」 つぶやくと、佐助が犬のように呻いた。 「あんた最低だ」 「よかったんだろう。いいじゃねェか」 「そういう問題じゃあないでしょうが」 「ふうん」 「ああ、ほんと―――さいてい。寝るンじゃなかった。マジ油断した」 佐助はてのひらを顔に押し当ててまた呻く。 かげつなは特にその様子は気にせずに、佐助の側に寄り添い、背中に腕を回し自分のほうに引き 寄せてみた。ぎょっとした様子で佐助が顔を上げる。かげつなは確かめるように佐助の薄い背中 をてのひらでなで下ろし、うん、と満足げに頷くと体を離した。 佐助は丸い目を瞬かせ、不思議そうにかげつなの顔を伺っている。 「なに」 「大分、体温が戻ったじゃねェか」 「はあ」 「冷えていたんだ」 佐助の顔がいぶかしげに歪む。 言葉の意味が伝わっていない。かげつなはすこし考えてから、また口を開いた。 「温めてやったつもりだったんだが」 余計だったか、と首を傾げる。 佐助はしばらく黙り込んだ。それから聞き取れないほどにちいさい声で「べつに」と吐き捨て た。かげつなはそうかと上機嫌で頷いて、飯にするかとソファを立ち上がり、思い出したよう に佐助を振り返り、 「あァ、クリーニングに出す前にきちんと洗っとけよ」 それ、と佐助の濡れたスラックスを指さす。 すかさず顔面向けてクッションが飛んできたが、かげつなは平気な顔でひょいとそれを避けた。
109:温 め る
かげつなたんの足コ●が書きたくてやった。反省はしてない。キリッ ほんとは踏んじゃらめえええ って言わせたかったのでこれ すごく 我慢したんです。ほんとです。 あとは佐助→小十郎・伊達→小十郎・にょこじゅ→佐助 で 足●キネタがやりたいです。 2010/10/02 プラウザバックよりお戻りください。 |