12時間かけて読み終わりました「前巷説百物語」。 手に入れてから三日間の焦らしプレイ(自業自得)の末に読んだので気持ちは砂漠のなかでオアシスに出会った旅人の ような感じですよもう冗談抜きで。 どんだけ待ったか。 どんだけ待ったか(繰り返し) 「怪」は読んでいないので完璧に初見です。 あからさまに興奮しすぎて言ってることは八割方おかしーです。 又市さんと百介さんがすきすぎておかしーです。そして無意味に長いです。 それでもよろしければお進みください。 ・・●「寝肥」●・・ 止せやい冗談じゃねえと言う。何だい揶い甲斐のない若造だよとおちかは頬を膨らませて、結局お葉ちゃんが 忘れられないんだ、妬いてるだけじゃないか―――と結んだ。 (前巷説百物語「寝肥」17P) おちかさんと又市さんのかけあいが可愛すぎます初っぱなから。 ていうか又市さん、「前〜」を通してそうなんですけどかなり初心いですよね。なんですかこれ。なんの策略ですか。 私を堕とすつもりの策略なら私の心は五年前からもうすでにあなたのものでs(黙れ)。 今までのシリーズでは、基本的に百介さん視点から又市さんを見ていたので、あんまり素の御行殿を見ることはできな かったんですが、今回はそこんとこ出血大サービス過ぎますね。つーか又市さん若いよ。青いよ。かわいいよ・・・。 仲蔵の家で、蝦蟇の仕掛けを披露されたときにも、 「う、微鬼魅悪いもん扱ってンじゃねェよ」とか、 「伸びるのかい」 「結構伸びるぜ。(中略)女子の頬ぺたぐらいは伸びるぜ」 「そんなもの伸ばしてみたこたァねえよ」とか、 「はァん」とか、 どんだけあんたは私を興奮させるんですか・・・・っ!!! アリエネー。 有り得ないかわいらしさです。 最早核兵器です。駄目ですこれ。発禁だよ又市さんもう存在自体が18禁です。 この後の林蔵がまたかわいーです。そんなに注目していたひとではないんですが、「前〜」で一気にすきになっちゃい ました。関西弁イイです。特に棺桶担いで、「わっしは忙しいねん。疲れとんねん」とかぶーぶー言ってるのがかわい すぎますよチクショー。もう又市さんとふたりでユニット組んでデビューしちゃえば?(意味不明) YOUたちデビューしちゃいなYO! 小股潜り&靄船でさ、 「こま&もや」 ・・・なんか汚いな。 話がずれました。 きどうしゅうせいー。 お葉ちゃんに素で惚れているっぽい又市さんがかわいいです。おまえ清純派がすきなんですねとうっとりします。さぞ かし百介さんはストレィトに好みど真ん中だったと思われますねこれはね(煩い)。 とりあえず、 「音吉と―――」 音吉と揉めたのかと又市は問うた。 揉めて欲しいと思っていたのかもしれぬ。 とか死にますねこれ。 どうしようかと思いますねこれ。 ここ読んだとき、私は部屋のなかでひとり悶絶しましたよ。横の妹がびびってました。そりゃ隣で姉がいきなり手ぇ、 口に当てて座椅子から飛び上がって床叩きだしたらこの女狂ったかなと思いますよね。自然だと思います。 とにかくここの又市さん焦りすぎだよね。すごいよね。誰の話も聞きやしねえ。 そしてどもるどもる。 超然とした又市さんしか知らないこっちの身にもなってください。そんなねえ、焦ってねえ、どもられたりしたら心臓 が保たないんだよチクショー。でもなんか妄想しちゃいましたよ、「船幽霊」とかで、百介さんが捕まっちゃったりし たところとか、「赤えいの魚」とかであっち行っちゃったときとかも焦ってたんじゃねーのと思いますよ。 どもってたんじゃねーのってことですよ。 以下妄想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 間一髪、であったのだろう。 百介は未だぼんやりとする頭にふらふらと手をやって、それからようやく目の前の男の名を呼んだ。 「また――い、ちさん」 「へェ」 小股潜りはにい、と口角をあげてお久う御座います、と言った。 聞き慣れた声を聞いて、百介は思わずすとん、と膝を落とした。安堵であったのだろうと思う。今更のようにがたがた と手や足が震えた。情けない、と思わないわけではなかったけれど、あまりにも――ひどい、非日常のなかで薄れてい た現の感触が、又市から溢れてくるようで思わず鼻先がつんとした。 オイオイ、大丈夫ですかいと又市の手がにゅうと伸びてくる。腕を引かれて起こされる。 「先生ェ――なにか、されやしたか」 「いえ、ああ、私は何も」 むしろ歓待された。 又市と、その後ろに居た算盤の徳次郎がほうと息を吐く。 「先生ェは随分と運が強いお方だねェ」 徳次郎が笑いながらぽん、と頭に手を置いてきた。 そうなのだろう。が、百介は力なく笑おうとして、矢張り笑えなかった。「客」としてこの島にたどり着いたことは、 幸運であったのだろうとは。 思えなかった。 「お辛い思いを、しやしたか」 又市が言う。 百介は地面に視線を落としたままに、首を振った。辛かったが、自業自得のことであるし、なによりおのれは幸運であ ったのだ。そのような甘えを言うことはあまりにも情けない。大丈夫です。百介は視線をあげて、おそらくはひどく、 不格好な笑みを浮かべた。 いいんだぜと徳次郎が笑う。 「ちっとくらい、弱音を吐いておきゃあいいんですよ。 この又公はそっちのが喜びますぜ。くく、なにしろねェ――」 くつくつと徳次郎は笑う。 首を傾げる百介の横で、又市の顔が忌々しげに歪んだ。 「オイ、徳の字ィ――」 「いやいや、お聞きくださいよ考物の先生。 この糞可愛くねェ小股潜りがねェ、あんたがこの島に居ると知ったときのあの」 慌てよう。 「どもっちまってさァ、いやあ結構な見せ物でござんした」 「手前ェッ」 「何だィ、本当のことしか言ってねェぜ、俺ァ」 「ま、またいちさん」 徳次郎に掴みかかる又市の裾を、あわてて百介は引いた。 舌打ちをひとつしてから又市は身を引く。けらけらと腹を抱える徳次郎を後目に、又市はちらりと視線を百介に寄越し た。深い息をひとつ吐いてから、困ったように笑う。 心配ェしましたよ。そう言う。 「す」 すみません、と百介は慌てて頭を下げた。 頭を下げながら、地面を見ながら、顔が熱くて仕様がないのは何故だろうと思った。又市が顔を上げてくだせェ、と言 っている。それに首を振って、ああ、と思い当たった。 ああ、そうだ。 私は。 私は嬉しいんだ―――。 「すみません」 また言った。 もういいですよゥと言う又市にそうではないんだと百介はきつく目を閉じる。そうではない。申し訳なかった。心配し てもらったのが嬉しいなどと、薄汚いことを思うおのれが心の奥底から厭わしかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ みたいなー。 ああいいな・・・青い又市おいしすぎるな。うっとり。 真面目な感想もちょいと言っておくと、音吉さんとおもとさんの話は切ないですね・・・。 京極先生はよくこういうすれ違い夫婦を描かれますね。お岩と伊右衛門とか。関口くんと雪絵さんもある意味そうだと 思うんですが、京極先生の描く夫婦が私は大好物なのです。大好きだ・・・!思い合ってるのに報われないのはとても かないしいんですが、音吉さんとかものっそいときめきます。いいひとだ。だからこそこの結果が胸に響くわけですが。 そして結局振られてる又市さんがかわいすぎるんだぜ。 お葉さんも切ないです。 第一話目からちょっと 長いなコレ(驚愕)。 ま、又市さんがかわいすぎるからいけないんじゃないですか・・・(言い訳)。 ・・●「周防大蝦」●・・ 「物を扱うのでも金を扱うのでもない、人を扱う仕事はな、決して割り切れないものなのだ。あちらを立てれ ばこちらが立たず、必ずどっかに歪みが出る。人はな、もとより歪んでいるものだからな。ただ暮らしてい るだけだって、人は悲しいぞ。違うか」 「違いやせん」 「悲しいのだ」 (前巷説百物語「周防大蝦」207P) なんと言っても山崎さんです。 「怪」を読んでいなかった私は、いろんなサイト様でこの山崎さんと又市さんとの絡みを見る度に「ふんっ、又市さん とそーいうことになっていいのは先生だけなんだからなっ」とか勝手にハンカチ噛みしめていたわけですが、読んでみ て思ったことは、ですね。 これしょうがないね。 山崎さんかっこええです。 そして又市さんの青臭さが大放出なこの周防大蝦ですが、そんな又市さんをうきうきしながら見ている山崎さんがいと しすぎるんです。特に最初の出会いのところで、又市さんが「腕っぷしが弱ェだけで」って言った後にそうかー弱いの かーとか嬉しそうにしてる山崎さんのかわいいこと!かわいいおっさんは大好物ですようはうは。 ほいで又市さんに山崎さんが、人が好いなと言ってるのももえました。こう、百介さんにおなじようなこと言われてと まどってたりしたらいいよね。 「又市さんはいいひとですね」 「奴が―――ですかい」 みたいな。棠庵さんと百介さんを重ねるっていうのはみなさん共通かと思うんですが、ちょっと山崎さんのこの強いく せに臆病な、うーん上手くは言えませんが、そういうところがすこし百介さんに似ているような気がします。 自分の行使できるちからを恐れているようなところかな。似てます。 あとちょっと私真剣に「前〜」を読んで思ってることがあるんですが。 又市さんて・・・ちゃんと、女知ってるよ、ね。 知ってますよね。 まさかチェ●ーじゃないよね(黙ろうか)。 いやだって、「寝肥」のお葉さんへの対応しかりお甲さんのこと考えて女はわかんねェとか言ってるところしかり、ま あおちかさんに関してはいろんな心情があるんですが触られるとなんかもじもじしているあたりしかり。女に慣れてな い感がものっそい漂っていてどうしようかと。かわいいよ。 まあ巷説以降だと廓でわいわいやってたりするしそりゃあ知ってるとは思うんですが。 はっ。でももしかしたらわいわいやるのは平気だけど手を出すことは出来ないとかそういうのだったらどうしよう。え、 まさかの又百双方未経験とかそういうことになるんじゃないんですかこれ。どうしよう。そんなんもえる。 以下妄想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 考えるだに憂鬱だった。 寝具のうえで正座をしながら、百介はじいと視線をおのれの手の甲に落とす。湯殿に行った又市はもうすぐ帰ってくる だろう。がばりと頭をあげて、障子窓のほうへ体を向けた。ちいさくそこは開いている。 逃げようか。 「―――いや」 逃げてどうする。 百介は一旦浮かせた腰をまた寝具のうえに落ち着かせた。 膝を強く握りしめていたら、てのひらにじわりと汗が滲んできた。気付いてみれば体のほうも暑くて汗が出ているよう な気がする。季節は夏である。空気は水を含んでじっとりと体にまとわりついてくる。 折角湯殿に入ったのに、これでは。 「往生際が―――、悪い、な」 ひとり嗤う。 覚悟は決めた筈であった。 又市に抱かれたいと言ったのは他ならぬ百介である。 又市は呆けていた。 それはそうだろう。おのれのような青瓢箪にそんなことを言われても困惑するだけである。こうやって冷静になってみ るとおのれでもどうしてそんなことを言ってしまったのか定かではなかった。逃げたい。が、今更そうするわけにもい かぬ。だらだらと汗を流しながら、百介は息をゆるゆると吐いた。 それに抱かれたいと思ったことその自体には、矢張り後悔はなかった。 「ご冗談を」 又市はそうやって笑った。 百介は首を振って、それから冗談でこのようなことは言いませぬと言った。 迷惑であろうことは分かっている。が、それでも、百介は出来うる限りに深く又市という男の奥に入り込みたかった。 その胸のうちに入り込むことが出来ぬことは知っている。おのれのような半端者にそのような資格はない。だからもう 肉のうえだけでも構わぬ、と思った。 どうせいつかは離れる身である。 からり。 襖が開いた。 「お待たせしやした」 百介の体が固まる。 くつくつと笑い声が降ってきた。寝具のうえにもうひとつの重みが加わる。 「先生ェ」 「あ、はあ」 「奴が風呂ォ入ってる間に、石にでもなっちまィやしたか」 おかしげに笑う又市に、顔をあげる。 大分伸びた坊主頭が、水で濡れてきらきらとひかっていた。ちかい。そう思った。 思ったのと同時に、又市の唇が百介のそれに触れていた。 「せんせい」 「は、・・・は、はい」 それはすぐに離れていく。 百介は全身に広がっていく熱にふらふらと眩暈を感じながら、それでも必死に頷いた。おのれで言い出しておいて、な んという醜態であろうとは思うけれど、書物と共に過ごしてきた百介には房事の経験は一切なかった。又市に向かって ちいさく頭を下げ、すみません、と言う。 「あの、ですね。私は」 「へェ」 「―――こう、いったことには。不慣れでして」 「そらァそうでやしょう」 又市が笑う。 百介は顔が熱くて死んでしまいそうだと思った。 「なので、その。い、言い出しておいて何なのですが」 宜しくご指導の程お願い致します――― 手を突いて頭を下げる。又市はしばらく何も言わなかった。 百介がその沈黙に耐えきれなくなったあたりで、ぶは、という何か吹き出すような音が降ってきた。顔をあげる。口に 手を当てた又市が、肩を震わせて笑っていた。 百介は元より丸い目をくるりと更に丸くしてそれを凝視する。 「ま、またいちさん」 「も、申し訳ありやせん、先生ェがあンまり畏まるもんだからつい」 「ひ――酷い、ですよ」 百介は眉をさげた。 真剣なのだ。 拗ねないでくだせェと又市は百介の肩に手を置いた。 「馬鹿にしてェわけじゃねェんだ」 「・・・そうですか」 「それに先生ェが奴をどう思ってるかは分かりやせんが」 奴は指導できる程その道に通じちゃいやせん。 百介は思わずへ、と間抜けた声を出した。又市はすこし困ったように笑っている。 「通じて、ない」 「へェ」 「しかし―――私よりは」 「五十歩百歩でございやす」 「私は朴念仁ですよ。お恥ずかしい話ですが、まだ」 女を知りませぬ。 消え入りそうな声でそう言うと、又市は奴もですよと笑った。百介は首を傾げる。嘘でしょうと言った。又市は頭を掻 きながら、こんな情けねェ嘘ォ吐いてどうしやすと苦く笑う。 「知りやせんよ」 あっけらかんと言う。 百介はしばし黙ったあとで、ふわりとひとつ笑んだ。そうですか、と視線を落とす。嘘やもしれなかった。それでも、 互いに経験が薄いと言う又市の言葉で胸につかえていた大きな凝りのようなものがすとんと体の下のほうへと落ちてい く感触がした。 では初めて同士ですねと百介は笑う。 「まァ、そういう訳でございやす」 気楽にやりやしょう。 そう言って笑う又市の頬がかすかに赤かったので、伸びてきた手を百介は殆ど恐れずに受け入れることができた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 書いてて何だけどありえねえ。 まあいいや。チェ●ー御行も私はもえです。 あとこの話ではまさかの男色がテーマ(ってほどじゃないけど)になってるわけですが、疋田さんと岩見弟はこのあと 手に手を取って逃げたわけですね。どっかの宿場で又市さんと百介さんが居る時に再会とかしたらたのしいなあと思い ました。百介さんとかきっと気付きませんよ。 「仲が宜しい方々ですねェ」 「はァ、まあそうでやしょうな―――先生」 「はあ、なんでしょう」 「お気づきにならなかったんで」 「何をでしょう」 「あのふたり―――出来てやすよ」 「ええっ」 みたいなね。まあ又市さんは言わないかそんなん。 この関係の件で、仲蔵と林蔵が「儂が誘ったら靡くか、林の字」「おっさんに誘われたら熊でも身ィ投げるわい」とか やってんのがものそい可愛いです。林蔵かわいい・・・きゅん。仲蔵もすきです。治平さんより覚悟が決まってないふ つうのおっさんなとこがリアルでいいなあ。 ラストは又市さんと山崎さんの仲良しシーンで終わりました。ほんと山崎さん素敵だな!又市さんもそんなに可愛くて いいんですか。しょうがないですねこれ。そりゃ山崎×又市とか言いたくなるよ。言わないけどな。 ・・●「二口女」●・・ 人は誰でも口二つだぜと又市は言った。 「真っ直ぐ真ん中歩くのは―――中中大変だよ」 そして又市は棠庵を真似て顎を摩った。 (前巷説百物語「二口女」315P) ここにぐっと来たのは私だけではないはずです。 又市さんにとって百介さんというひとは、ふらふら頼りなくて余所見ばかりして、物凄くはらはらさせるひとだったと 思うのですが、それでもこの「真っ直ぐ真ん中」を一生懸命歩いているひとだったのではないのかなあ、と思います。 そこを見ているひと、という感じかもしれません。凄くそれが難しいことだと又市さんは知っているから、そこを見る ことができて、ちゃんと歩いていけるひと―――少なくとも又市さんにはそう見えるひと―――である百介さんの進行 方向を曲げるのは絶対に嫌だったのだろうなあ。なんてことを考えたらこのお話のラストでひとりしんみりしてしまう のでした。出てこないのに百介さんのことを考えてしまうのは、これはもうファンなのでしょうがない。 このお話でうわあ、と思うのが又市さんの両親への語りですね。なんか泣けてしまう。治平さんが、父親が死んだとき の又市さんの話をするシーンが前にもありましたが、もう又市さんの過去はきっついですよ。聞いてるほうがきっつい です。そして又市さんのひとに対するもうどうしようもない優しさっていうか、いとおしむ感じでしょうか、言うとす ごい薄っぺらくなってしまうんですが、そういうものがかなしいです。 「それは実の親だから―――じゃねェのかよ」 「違うよ。あれが赤の他人なら、逆に少しでも養ってくれたことを感謝してらァ。血が繋がってなかったら怨む筋合い もねェだろうよ。あのな、俺があの莫迦親父を心底憎めねェのは、血が繋がってたからじゃねェのさ。僅かでも、縁 があったからだ」 (234P) ここが何だかかなしくってしょうがなかったです。 縁がちょっとでもあったら、そのひとがどうしようもないと思ったら、憎めない。 優しすぎてかなしいです。又市さんー又市さんー優しすぎるよー。すいませんまた百介さんの話になってしまいますが、 だったらもう百介さんとかどうすんだよ。あんだけ関わり合っちゃって、あのひとが又市さんのことを忘れられずにず っと生きていくのを確実に又市さんはずっと見ていて、どんな気持ちだったんだろうか。 巷説は痛いです。もう又市さんがいとしすぎてどうにかなりそうだ。 さて仕切り直して棠庵さん。 いいですねー素敵ですねーだいすきです。 おっさんキャラも老人キャラもだいすきなので、山崎さんと並んでこの前巷説のヒットキャラでございます。ほっほっ ほとか笑い方かわいいですよもう。又市さんとの会話もかわいい。 笑わせるぜこの野郎って言ってほんとに笑っちゃう又市さんもえ。 ここは大きいですよね、でも。学者というものの使い方を又市さんが知る話。私は巷説を又市さんと百介さんによる壮 大な愛の大河小説だと思っているので(えええええ)又市さんが百介さんを「使う」ということにすごくときめきを覚 えています。そこからね、次第にそういう関係じゃなくなっていくのがいいわけですよ。 まあそんな私の又百もえは置いておいて、棠庵さんの、 「解りますよ。私にも欠けているのでね」 という言葉がすごいすきです。 使いやすいひとだったろうなあと思います。そういうのが無いほうが、それこそ又市さんがものすごく鬱陶しいじゃな いですか前巷説って。いやいい意味で。青臭いってことは、面倒なんですよね。でも面倒だけど、又市さんはひとが死 なない図面を描く。面倒な割り切れないものを、割り切らない図面を描くんです。 棠庵さんにはそういうものが欠けているとして、ありすぎるほど持っていたのが百介さんで。 使いにくいひとだったんだろうと思います。なんだっけ、舞首だったかなんかで、百介さんが又市さんに詰め寄るとこ ろがあったかと思うんですが、面倒じゃないですかああいうの。おまえは使われてろよと思ったことも又市さん無くは 無いと思うんですよね。 それでも、面倒な百介さんを又市さんは大事にしてたんじゃないかなあ。 以下妄想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ また可笑しなおひとと付き合っとんなァ、と林蔵は笑った。 又市は面倒くさげにちらりと視線を林蔵に投げて、それから煩ェよ呆け、と吐き捨てた。 「なんや、あの爺さま思い出すなァ」 「 (続く)
空天
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